クロック関連機器の研究開発と製造販売

位相雑音・アラン分散測定器の高精度校正

位相雑音・アラン分散測定器の高精度校正

 弊社の製品である「クロック」の性能評価を行う主な計測は「位相雑音」と「アラン分散」となります。その測定器である位相雑音・アラン分散測定器「TSC5115A」の校正をメーカーで行ってきたのですが、発行される校正書は測定器の精度をメーカー保証する範疇となり、国家標準との相対偏差値が記載されない形式でありました。弊社では、非常に高い精度のクロックを扱うため、製品に添付している試験成績書で計測の不確かさ(精度)を明確に記載したいと考えておりました。

位相雑音の標準校正

 離調周波数1Hzで弊社の求める精度の位相雑音校正が可能な民間のJCSS登録事業者はありません。
 位相雑音の国家標準校正機関である産総研の標準校正の種類(2015年)では、
「キャリア周波数:10 MHz/離調周波数: 10Hz〜49Hz、51Hz〜990KHz
キャリアレベル: +10dBm〜-10dBm」 となっております。
 弊社が最も重視するす離調周波数(オフセット周波数)1Hzの項目は、一般需要に対して精度要求が高すぎるためか、標準校正の対象になっていません。

産業技術総合研究所(AIST) 技術コンサルティングによる校正

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所で、最先端の研究開発で培った技術力を生かしたコンサルティングを通して企業等のイノベーションをサポートするのが 「技術コンサルティング制度」 です。該当分野で日本の最先端の研究者の方々による技術支援・サポートが受けられます。また、国家標準校正機関であるため、測定報告書は「国家標準のトレーサビリティ」があります。弊社の求める校正精度を確認するため、この技術コンサルティングによる弊社の位相雑音測定能力の評価を行いました。

 

弊社が依頼した技術コンサルティングの内容と結果は下記の通りです。
<題目>
位相雑音計測に関する技術コンサルティング
<技術コンサルティングの内容>
(株)サイバーシャフトが所有する位相雑音測定器「TSC5115A」に国立研究開発法人産業技術総合研究所が所有する位相雑音標準信号を入力し、キャリア周波数10MHz、フーリエ周波数1Hzから100KHzまでの範囲で位相雑音測定を行い、測定能力の評価を行う。
位相雑音標準信号の設定 : 10MHz +7.2dBm -100.01dBc/Hz、-110.01dBc/Hz、-120.01dBc/Hz

 

 測定値は、位相雑音標準信号の-100dBc/Hz、-110dBc/Hz、-120dBc/Hzの全てに於いて0.11dB以下となりました。この3点の校正結果からリニアリティの確認も出来ました。位相雑音標準信号の拡張不確かさ0.73dBを下回る結果が全て得られましたので、校正確定値は「拡張不確かさ 0.73dB」となりました。アラン分散については校正方法が確立されていないため実施いたしませんでしたが、5115Aは位相雑音を算出する同じデータ用いてアラン分散値を算出していますのでアラン分散値の信頼性も評価できます。

 

TSC5115A

<弊社 位相雑音・アラン分散測定器 TSC5115A 校正値>
 周波数:10MHz キャリアレベル:+7.2dBm
 離調周波数(オフセット周波数):1Hz〜100KHz
 標準信号値 / 測定結果値 / 拡張不確かさ
 -100.01dBc/Hz/ -99.90dBc/Hz/ 0.73dB
 -110.01dBc/Hz/ -110.01dBc/Hz/ 0.73dB
 -120.01dBc/Hz/ -119.94dBc/Hz / 0.73dB

 

<測定報告書 全6項>

産総研技術コンサルティング 測定報告書1

産総研技術コンサルティング 測定報告書2

 


産総研技術コンサルティング 測定報告書3

産総研技術コンサルティング 測定報告書4

 


産総研技術コンサルティング 測定報告書5

産総研技術コンサルティング 測定報告書5


( 10KHz 近辺に現れているノイズは、弊社TSC5115Aのシステムノイズです。)

 

 産業技術総合研究所 技術コンサルティングの実施にあたり、ご指導いただきました関係者各位の方々に深く御礼申し上げます。

 

 

 

 


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