クロック関連機器の研究開発と製造販売

添付データ資料についての補足説明

製品添付データ資料の補足説明

製品すべてに添付されている製品の特性データ資料について、内容の一部に誤解を生じ易い部分がありましたので、下記に詳しく説明させていただきます。

データ表の異なる2つの表記について

弊社が製品に添付する各データ資料には、下記のように丸印の表記について2通りの場合があります。

@の場合 「Reference IN=REF」と印刷されています。
Aの場合 「Reference 10MHz xxdBm」と印刷されています。

 

この項目の意味は、基準信号の内容を表しています。製品の特性値とは全く関係がありません。
あくまでも測定時の状態を示す内容となります。 IN=REFとは、被測定物と基準信号が同一周波数値である事を意味しています。
※被測定物と基準信号の位相が同一という意味でもありません。

 

測定器であるTSC5115Aは、この2つの内容が計測中、計測完了時とも交互に画面に表示されるようになっています。 →【 計測中の5115Aの画面の表示の様子 動画 】
※同じTSC5115Aでもファームウェアーのバージョンの違いにより、同様の操作になるとは限りません。
※これらの説明は、弊社の5115A "Revs 40 00 00 00"での内容となります。

 

弊社が提供しているデータに2通りの内容が存在する理由は、データを印刷するために「Print」ボタンを押した時に表示されていた方の内容が印刷されているからです。
前述の通り、製品の特性値とは全く関係が無い項目であるため、弊社では、どちらか一方に統一する操作は行っておりません。 (今後も統一されません。)

 

<"Reference IN=REF"と表示時に"Print"ボタンを押すとデータ表にも、その内容が印字される>

 

<"Reference 10MHz 9dBm"と表示時に"Print"ボタンを押すとデータ表にも、その内容が印字される>

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アドバイス
これらの印刷物の2通りの表記につきましては、製品特性データに対して何ら不確定要素を含む物ではなく、計測データが否定される物ではありません。どちらの表記であってもデータ表の信頼性が変わるものではありません。

"Reference IN=REF"表示の正しい意味とは

誤解を招き易い内容の"Reference IN=REF"ですが、弊社所有の5115Aの場合は、被測定信号と基準信号の周波数値が同一であるという意味の表示です。
少し計測に詳しい方ですと、この表示を見た時に被測定物と基準信号が同一の信号を使っていると解釈される方も居るかもしれません。 しかし、それは誤解です。 とても計測に精通している方ですと、グラフの特性を見れば被測定物と基準信号は全く別の物であると理解できるでしょう。
5115Aには「テストモード」の機能はありません。もし、自己診断をするのであれば前述のように1つの信号を分配して被測定物と基準信号に接続する事になります。 被測定物と基準信号に同じ信号を繋いで測定すると、それは測定器の計測限界点の計測となります。そのデータは製品に添付しているグラフのような曲線にはなりません。 位相雑音とアラン分散は、測定限界点まで、ほとんど直線で表されます。被測定物と基準信号が同一信号の場合は、データ値は極端になります。

 

< 非測定物と基準信号に分配された同一信号を入力して測定した場合のアラン分散のグラフ > 

説明のため、縦スケールを変えてあります。赤い線が製品に添付しているグラフの部分と同一部分であります。

 

ご参考までに、上記写真と同条件で、計測時間を1時間に設定して測定したデータグラフを掲載します。

 

<被測定物(DUT)とReferenceに同一信号を入力した時のアラン分散の測定結果>

上図のように、被測定物とReferenceの信号が同一信号の場合は、データが、ほぼ直線になります。
素晴らしい特性データですね。しかし、このような特性のクロックは、現在では存在しません。水素メーザー発振器や光キャビティ発振器でも、この特性にはなりません。
これは弊社の5115Aの測定限界点を表します。被測定物と基準信号を同一にした時の結果です。

 

< 非測定物と基準信号に分配された同一信号を入力して測定した場合の位相雑音のグラフ > 

こちらも素晴らしい特性データですね。オフセット1Hzで-136dBc/Hzを示します。
このような特性は、国立研究所の特殊なクロックでしか得られません。表示されている特性は、弊社の5115Aの測定限界点を表します。5115Aの雑音床はあまり良くなく-148dBcに留まります。

 

このように、被測定物(DUT)と基準信号が同一信号の場合には、それぞれの信号ノイズが相殺されて測定器のノイズ特性のみが表示されるという事をご理解ください。弊社製品に添付されている実際のクロックの曲線グラフとは全く異なる内容となります。

 

弊社製品に添付される製品性能データの意義

弊社では、非常に高精度な測定システムを構築して製品の特性を管理しています。
正確な特性の測定による製品供給、それは私達が良い製品を提供する信念であります。
特性のバラツキによる「当たり」や「ハズレ」の製品は、ありません。すべては個別にランク分けされています。その結果、多くの弊社製品ユーザー様から正当な評価をいただく事が出来ております。

 

弊社では、TSC5115Aの他、Microsemi 3120A, 5330A,最新の位相雑音測定器も加え複数のアラン分散・位相雑音測定器で計測を行って検証しています。
※弊社の最新のアラン分散・位相雑音計測システムは近日公開いたします。

 

 

 

 


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